最近テレビや雑誌などでよく耳にするようになった言葉に、AGAというものがあります。これは男性型脱毛症という成人の男性によく見られる薄毛症状の一種で、思春期を迎えた時期以降におでこの生え際や頭のてっぺんあたりから髪の毛が抜けて薄くなっていきます。これまではこういった薄毛症状は単なるハゲなどとみなされることが多かったのですが、AGAは遺伝の影響や男性ホルモンのバランスが崩れたことによる影響などが大きな原因となっており、れっきとした疾患の一つとして治療対象にもなっています。もちろん生命に直接被害が現れるような疾患ではありませんが、髪の毛が薄くなってしまうというのは男性にとって恥ずかしさや自信の喪失など精神的な負担となることも多いので、早い段階から適切な治療を行っていくことが大切です。

AGAの治療薬としては、現在プロペシアやミノキシジル、ザガーロといった3タイプが効果が高いとして注目されています。それぞれ作用や特徴が異なるので、内容をよく理解して自分に合ったものを使用するようにしましょう。

プロペシアについて

まずプロペシアですが、これは還元酵素阻害薬とも呼ばれる薬で、薄毛を引き起こす酵素のは働きを阻害することで症状の進行を抑えるタイプになります。そもそも薄毛や脱毛には男性ホルモンが大きく影響を与えており、特にジヒドロテストステロンという種類のホルモンが合成されることで脱毛を誘発しやすくなるのです。プロペシアはこのジヒドロテストステロンを生成する還元酵素の働きを抑える効果があり、そもそもの原因物質の発生を阻害できるために薄毛症状の進行を抑えることができます。

メーカーによる臨床試験では、投薬を受けた人のうち90%が抜け毛の進行が抑制されるか症状が改善しています。AGAは時間の経過とともに症状が進んでいくため、プロペシアのように症状を押さえる作用機序をもつ薬は非常に効果が高いと言えます。副作用としては、男性ホルモンの生成を抑えてしまうために勃起不全が起きたり、性欲そのものが減少してしまうという症状が考えられます。
※この薬はもともと前立腺肥大という疾患の治療薬として生み出されたもので、使用者に薄毛の改善や発毛効果が見られたことでAGAの治療薬として脚光を浴びるようになりました。

ミノキシジルについて

次にミノキシジルですが、これは育毛剤などによく含まれている成分で、血管を拡張させて血流を改善するという効果を持っています。医薬品として分類されており、健康状態や持病などによっては副作用の発生頻度が高まるため使用に当たっては注意が必要です。もともとは高血圧患者の治療薬として開発されたものだったのですが、使用した患者の多くに体毛が濃くなったり増加する副作用が見られたため、育毛成分としての効果が研究されるようになりました。

そもそも髪の毛は、毛母細胞という部位に血液がスムーズに送られることで、必要な酸素や栄養分を補給して健康な髪の毛が生えてきます。AGAの場合は頭皮の血流が悪化したことでこれらが不足し、髪の毛が早く抜けたり生えてこなくなってしまいます。ミノキシジルの血管拡張作用はこういった状態を改善し、細胞が十分な酸素と栄養を取り込めるようになるため薄毛症状が改善していくと考えられています。副作用としては、成分を塗布した部分に現れる接触性皮膚炎の症状が最も多く見られ、かゆみやフケなども現れるようになります。肌の症状の他、頭痛や目まい、動悸などの身体症状も報告されているため、血圧に問題のある人や狭心症などの持病がある人は使用を控えたほうが良いとされています。

ザガーロについて

最後のザガーロは、日本では2015年9月に厚生労働省から認可された比較的新しいタイプのAGA治療薬です。実際に販売が開始されたのは2016年6月からで、現状では最も新しい治療薬として認識されています。作用機序はプロペシアとほとんど同じで、脱毛を引き起こす男性ホルモンを生成する還元酵素の働きを阻害する効果があります。還元酵素にはI型とII型が存在しており、プロペシアの方はI型だけしか阻害する働きがないのですが、ザガーロはI型もII型も両方の効果を阻害することができます。

つまり男性ホルモンの生成をより強力に阻害することができるため、高い脱毛抑制効果を得ることができます。副作用は男性ホルモンが減ることによる性機能の減退が最もよく見られ、1年間ザガーロを使用し続けた人の場合約17%に副作用症状が現れるとされています。

AGA治療薬を初めて使用する場合は必ず医師に相談しよう

このように、3つのAGA治療薬にはそれぞれ異なる効果や特徴、作用機序などが挙げられます。これらを知っておくことでより効果の高いものを選んだり、複数を組み合わせて使用するなど様々な治療法を考えることができるので、薄毛治療を考えている場合は内容をよく理解しておきましょう。いずれも初めて使用する場合は医師の診察を受け、体質的に問題ないかなどをチェックしておいた方が安心です。